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感染力が高い新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」は、来年2月の北京冬季五輪に新たな難題となりそうだ。大会が開幕する2カ月後には世界で感染爆発となる恐れもあるが、現状ではワクチンの効果は未知数だ。中国が抱える人権問題の根深さに加え、習近平政権が「ワクチン外交」を展開するアフリカで変異が生じたことも対中世論に影を落としており、各国の「外交的ボイコット」に拍車をかけるとの指摘もある。
習主席は政治的権威を高め、異例の3期目続投を果たすためにも、北京五輪という世界的イベントをなんとしても成功させる必要がある。
中国外務省の趙立堅報道官は「中国の新型コロナ感染防止の経験があれば、五輪を予定通り成功裏に開催できると強く信じている」と意気軒高だが、オミクロン株への対応は不明だ。
五輪参加者のコロナ対策については、外部との接触を遮断する環境に置かれ、ワクチン接種済みなら隔離なしで入国可能としているが、そのワクチンが問題だ。
この夏の東京五輪では国際オリンピック委員会(IOC)が米ファイザーからワクチンの無償提供を受け、大半の選手や関係者が開幕前に接種を終えていたことが大きな担保となった。
しかし、オミクロン株は接種完了者も感染しやすい。多くは無症状または軽症だが、拡大のスピードが速いため、各国の代表選考が遅れたり、選手村などで集団感染が発生する懸念もある。
こうしたなか、「北京五輪開催支持」を表明した国が53カ国も現れた。冬季五輪と縁が深いとは思えないアフリカ諸国で、「スポーツの政治問題化に反対する」と中国に好都合な主張までしている。
支持の見返りなのか、習主席はアフリカ諸国にワクチン10億回分を提供すると表明した。だが、習政権が展開してきた「ワクチン外交」が裏目に出る可能性もある。
米デューク大の資料によると、初期からオミクロン株が確認された南アフリカやボツワナ、アンゴラやジンバブエ、ナミビアなどアフリカ南部諸国には中国製ワクチンが多く流通している。
約50カ国にワクチンを提供している中国の科興控股生物化学(シノバック・バイオテック)は、研究開発の必要性を見極めるとした。