こんな状態から脱するためには、「戦うこと」イコール短絡的に「悪」だと思い込まされてきた戦後の価値観から脱しなければならない。それは、すなわち大東亜戦争での先人たちの戦いぶりに心底恐れをなしたGHQ(連合国軍総司令部)が、日本人を再起させないために仕掛けた「洗脳」から目覚めるということだ。
昨年から今年にかけて、映画『鬼滅の刃 無限列車編』が、国内歴代興行収入第1位を記録した。大人も子供も夢中にさせたこの作品は、戦後体制によって失われたと私が嘆いている「尚武(しょうぶ=武を重んじること)の精神」の塊のようなキャラクターたちが、スクリーン狭しと暴れまわる。
単なる勧善懲悪ではなく、相打ちや自己犠牲を厭わない、極めて日本的な戦いぶりが現代日本人の心をわしづかみにしたということは、実は日本人が「戦う気概」を渇望していることの表れではないか。
だからこそ、私は問いたいのだ、「戦うことは『悪』ですか」と。明日からは各論で、4つのテーマを取り上げてみたい。
■葛城奈海(かつらぎ・なみ) やおよろずの森代表、防人と歩む会会長、ジャーナリスト、俳優。1970年、東京都生まれ。東京大農学部卒。自然環境問題・安全保障問題に取り組む。予備役ブルーリボンの会幹事長。著書・共著に『国防女子が行く』(ビジネス社)、『大東亜戦争 失われた真実』(ハート出版)、『戦うことは「悪」ですか』(扶桑社)。