企業側の本音はどうか。金融機関に勤める男性は「特定の大学を対象にOB社員と学生が交流する説明会がある。選考と無関係という建前だが、実際には優秀だったり志望度が高い学生を探り、見込みの高い学生は繰り返し説明会に呼んで本番の採用選考の準備をサポートしている」と明かす。
学歴フィルターを目の当たりにした証言もある。難関国立大を卒業した男性は「ある企業の選考では、1回目の個人面接から広い会議室に通され、面接官として役員が勢ぞろいしていた。最初から選考の終盤のようで驚いたが、後で調べたところ、ほかの大学の学生は中堅社員との面接からスタートしていたようだ」と振り返る。
最近では選考の際に学生に大学名を聞かない大手企業も増えてきた。それでも難関大の学生が採用されやすい理由が、学力試験とインターンの存在だ。
「選考初期に学力などをみる適性検査を設ける企業は多く、結果論だが、学力試験に通過しやすいのは難関大の学生だ。また就活解禁前に企業が行うインターンには動き出しが早い難関大の学生から応募が集まり、中堅以下の大学は相対的に学生の動き出しが遅い」と前出の石渡氏。インターン参加者を対象に早期選考を実施する企業もあり、採用される学生も難関大が多くなるというわけだ。
見えないフィルターはいくつもあるようだが、もちろん実社会では学力だけが能力の担保にはならない。