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命を救う医師が抱えた「正義」と「葛藤」 気鋭のミステリー作家 初の本格医療小説 柚月裕子さん『ミカエルの鼓動』1/2ページ

柚月裕子さん(写真提供・文藝春秋)
柚月裕子さん(写真提供・文藝春秋)
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コロナ禍で弱点をさらしたわが国の医療体制だが、命を救うために日々奔走する医師も人の子だ。野望、羨望、矜持、葛藤、挫折といったさまざまな感情から逃れられない。気鋭のミステリー作家・柚月裕子氏が「週刊文春」に連載してきた初の本格医療小説が単行本になった。 (文・たからしげる)

――初の本格医療小説とありますが

「週刊誌に連載のお話をいただいたとき、生きる、生きている、とはどういうことなんだろうという疑問がありました。肉体が機能しているだけで生きていると言えるのか、あるいは、そこに感情といった心があって初めて、人は生きると言えるのか。延命治療に対する疑問がきっかけだったと思います。これをもとに、人の命を預かる医師というものをぜひ、描いてみたくなりました」

――主人公の医師・西條が操る手術支援ロボットの存在意義は

「こうした技術はこれからの医療現場にはどんどん必要になって、人の命を救う大きな役割を担っていくものと感じます。今回、新型コロナウイルスがもたらす感染症が流行した中で、患者に触れずして、遠くに離れていながらも適切な治療を行うという意味では、今後もこうしたロボット支援の需要は、ますます増えていくのではないかと思います」

――取材は大変だったのですね

「それはもう。私には医学に関する専門知識が何一つありませんから、すべて一から調べるところから始まりました。医療支援ロボットに関してもまったくの門外漢ですから、ご協力いただいた心臓外科の医師、医療関係者、編集部の方々みなさんのネットワークに助けていただきながら書き上げた作品です」

――医師という職業に対する印象は

「取材で実際の心臓外科医の方々にお会いしたのですが、だれもが非常にパワフルな印象でした。体力面でも精神面でも、タフさが目立ちました。目の前にある命を救わなければいけないという使命感でしょうね。また、生身の命と向き合っているためか、オブラートでは包めない人間味があふれていました」

――かつて医者や医療従事者になりたい、と思ったことは

「ありません。私の場合、幼いころから身内で医者にかかっている者がいました。だれかを救いたいというより、どちらかというと患者側の意識が強いのでは、と思います。病を抱えてつらい思いをしている方はみんな救われてほしいと、当事者側の意識として、昔からずっと思っています」

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