■市場も増税身構え
自民党内にも積極財政派と緊縮財政派の対立構造がある。高市早苗政調会長直轄の「財政政策検討本部」は安倍晋三元首相を最高顧問に迎え、積極財政による経済の浮上を目指す方向性だ。
だが、党税制調査会の宮沢洋一会長を筆頭に、岸田政権周辺には財務省(旧大蔵省)出身者が多い。
7日には、首相の意向で総裁直轄機関に改組して発足した新組織「財政健全化推進本部」も役員会を行った。出席した岸田首相は「足元の新型コロナウイルス対策と中長期的な財政健全化は矛盾しない」と強調した。
前出の永濱氏は「日本経済の成長には、財政出動と減税が鍵を握るが、岸田政権はその方向には向かっていないようにみえる。市場も参院選後にさらなる増税の可能性があるとして身構えている。自民党内では積極財政派も一定の存在感を示すが、来年の骨太方針における基礎的財政収支(プライマリーバランス)に対する考え方などで、政府の方向性が見えてくるのではないか」と述べた。