箱根駅伝外伝~東洋大元監督・佐藤尚が語る~

(11)胴上げなき優勝の真実2/2ページ

表彰式のあとの祝勝会も自粛された。

「慰労会ということにして、それでも100人ぐらいは集まりました。なにせ、初出場から67年でしょう。『1回勝つまでは死ねないぞ』というOBが、たくさんいましたからね(笑)」(佐藤)

佐藤にとって、人生でもっとも長く感じられた1カ月が終わった。

「3年分ぐらい働いたかな。寿命が5年ぐらい縮む思いだった(笑)。優勝の実感も、取材や挨拶回り、行事などが一通りに終わった5日の夜になってからでした」(佐藤)

1994年に東洋大で監督に就き、コーチを退任するまでの25年間、埼玉県の川越キャンパスそばのアパートで単身赴任生活を送った。

「毎朝、4時40分に起床し、5時15分にはグランドにいました。うちの一番の売りが『朝練習』。夏も冬もします。多くの部員が東京の巣鴨や白山キャンパスで授業を受けるので、1限目の始業時間から逆算すれば、この時間になってしまう。おそらく、日本一早い起床でしょう。その生活リズムに耐えられる生徒、それが私のスカウト基準の1つでした。同時に、『学校にはきちんと通う』ことを約束させます。やはり走りっこだけでは、世の中で通用しませんからね」(佐藤)

その夜、鉄紺の襷をつないだ教え子たちの顔が次々に浮かんだ。

■佐藤尚(さとう・ひさし) 1953年4月生まれ。68歳。秋田県横手市(旧平鹿郡平鹿町)出身。県立秋田工業高校時代は800メートルで活躍。72年、東洋大入学後はマネジャーに転身。卒業後、地元企業に就職する一方、母校秋田工業の陸上競技部コーチを務める。94年、東洋大の長距離部門監督に就任。97年の箱根駅伝で7位となり12年ぶりにシード権を奪還。2002年、川嶋伸次新監督の下、スカウト兼任コーチ。09年、箱根駅伝初優勝の際は代行監督を務めた。19年3月コーチ退任。現在は東洋大で支援コーチをしながら秋田工業の指導にも携わる。

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