もちろん、チャンスだと飛び乗ったが失敗することもある。「でも、相撲と同じ。全勝を狙わず勝ち越せばいい」と水谷さんは笑う。
取得した資格の中で、とくに役立ったものは中小企業診断士。事務系のサラリーマンにもおすすめだという。
「税理士、社労士は人気資格ですが、今後AIなどに置き換えられていきそうな部分が多くあります。実際、税理士や社労士でもコンサルティングに事業領域を広げていかないとまずいと考え、中小企業診断士の資格を取る人が増えています」
資格を次々に取得するコツを聞いてみたが、「そんなものがあれば私が聞きたい」と笑う。水谷さんの場合、朝早く起きるのが得意だったので早朝5時に起きて1時間の勉強時間を確保していたそうだ。また、休日はモチベーションアップのために勉強会にも参加していたという。その勉強会では参加者が持ち回りで講師を務めるルールだったので、勉強せざるを得なかった。自分自身で勉強する環境をつくったのだ。
「終わった後の飲み会が楽しみで、それで通っていた面もありますけど」
水谷さんは原稿を書く仕事や各地の商工会議所などでのセミナーの仕事もしている。その際に面倒なのがマイナンバーの提出だった。そこで2017年に法人化した。大手企業相手だと「法人でないと契約できない」と言われることもある。定年後に小さな法人を持つことも考えたい。
水谷さんは定年後に独立を考えるサラリーマンにこうエールを送ってくれた。
「自分で事業を興すのはワクワクドキドキするものです。ぜひ楽しんでいただきたいですね」