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木下稜介(21) 涙こらえ最高の晴れ舞台へ 宍戸ヒルズCCの女神が「重圧に負けず、71ホールを回ってきたね」と褒めてくれた1/1ページ

木下稜介
木下稜介

今年の日本ゴルフツアー選手権、最終日最終組で一緒に回っていた古川雄大(24)が、16番パー3でバーディーパットをねじ込んだ。しかし、初日から3日間、ただ一人60台をマークし、単独首位を独走していた木下稜介(30)に動揺はなかった。前ホールの15番パー5で、木下はこの日4つ目のバーディーを取っていただけに2位の古川との差が6打差に縮まったに過ぎなかったからだ。残り2ホールを無難にこなせば初優勝を手にできる。

迎えた481ヤードの17番パー4。平均スコア4・406という難易度1位のホールを木下は前日までの大会3日間バーディー、バーディー、パーで料理し切っていた。大叩きしそうな不安材料もまったくなかった。

木下はパーオン、2パットでパーセーブに成功し、前ホールでバーディー奪取した古川もパーセーブする。同組の大岩龍一はパーオンを逃し、ボギーを叩いて3位に後退した。

最終日最終18番パー4。2位・古川とは6打差があった。木下が練習ラウンドでティーショットするかのように帯同プロキャディーの清家充宏は、ドライバーを手渡す。優勝へのプレッシャーはあったものの、互いの手は決して震えるようなことはなかった。微風が木下の頬をなでた。大会舞台である宍戸ヒルズCCの女神が、「重圧に負けず、71ホールを回ってきたね」と褒めてくれたように感じた。

リズムよく振り抜いたドライバーは、ボールをフェアウエーへと運んでくれた。ギャラリーからナイスショットの声と拍手が木下を包み込む。帽子のツバに手を添えて、木下は会釈した。2打目でグリーンを捉える。ボールがグリーン上に止まったのが見えた瞬間、歓喜の涙があふれ出してきた。

(涙を流すにはまだ早過ぎるよ)。自分にそう言い聞かせながらグリーンへと向かう。これまで優勝を逸してきたことや辛い練習、負けた悔しさで眠れない夜を過ごしたことなどを思い出し始めた。そんな過去が、木下の涙腺をノックする。涙は流さないぞ! と必死に堪えた。あと少し、もう少しで初V達成の重圧から解放される。最終18番グリーンは、木下にとって最高の晴れ舞台と化したのだった。 (文中敬称略/つづく)

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