バフェットの次を行く投資術

「自分の資金」で金持ちになったノーベル賞経済学者はいない 机上の空論ばかりの「黒板経済学」はばかげている1/1ページ

ディアドラ・N・マクロスキー氏の『ノーベル賞経済学者の大罪』(ちくま学芸文庫)は、10年以上前に日本でも話題になった本である。同氏は妻子もいるが、53歳で性転換をしている。その件に関しては、本書でも妹さんとの葛藤なども含めて随所で触れているが、『性転換―53歳で女性になった大学教授』(文春文庫)も出ているので詳しくは語らない。

彼女(彼)が主張するのは、女性の「生活者目線」から考えると、前回も触れた机上の空論ばかりの「机上のクウロニスト」による「黒板経済学」はばかげているということだ。ちなみに「黒板経済学」とは、教室の黒板の上だけで成り立つという皮肉を込めたネーミングである。

その典型が「ノーベル経済学賞」である。自然科学分野で日本はノーベル賞大国になりつつあるが、経済学賞受賞者は出ていない。私自身は全ての受賞者が机上のクウロニストだとは思わないが、日本人の受賞者がいないことは幸いなのかもしれない。

彼女がその証明として取り上げるのは、自分の理論を駆使し、「自分の資金」を運用して金持ちになった経済学者がいないことだ。

ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)は、運用チームにノーベル経済学賞受賞者らを集め、高度な金融工学理論を駆使して、組成から数年は驚異的な成績を記録した。しかし巨大なレバレッジをかけていたため、アジア通貨危機の結果起きた市場の大変動を吸収しきれず破綻した。

結局、彼らが行ったのは、「先物で巨大なリスクを負い、小銭を稼いで、最後に大損をして破滅する」という相場の素人と同じ過ちだった。

ノーベル賞経済学者の「高度な金融工学」よりも、「コツコツ稼いで大きく損する」という、過度なリスクを抱えながら目先の小商いを行うことに対する警句の方がよほど役に立つ。「泳法の理論解説書」を読んだだけでは泳げるようにならないが、投資も実践で学ぶことが多いのだ。 (人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩) =敬称略

【2021年12月16日発行紙面から】

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