日本の解き方

米英の利上げに追随は無用だ! 金融引き締めは経済に逆効果…インフレ目標超えても緩和を1/1ページ

日銀の金融政策はどのような方向性を取るべきなのか
日銀の金融政策はどのような方向性を取るべきなのか

米連邦準備制度理事会(FRB)が2022年に3回の利上げを行う見通しを示したほか、英中央銀行のイングランド銀行(BOE)も利上げを発表し、欧州中央銀行(ECB)も緊急購入プログラムの終了を発表した。各国が引き締め方向に進む背景はなにか。そして日銀の金融政策はどのような方向性を取るべきなのか。

まず日米欧のインフレ率の推移をみておこう。20年1月以降、消費者物価指数総合に相当する指数の前年同月比は、日本では急落してゼロかマイナス近辺で推移し、プラスに転じたのは今年9月からだが、いまだにゼロ近辺だ。

米国はやはり20年初めは急落し、5月にゼロ近辺まで低下したが、その後上昇し、今年初めには2%を超え、いまでは6%を超えている。欧州(ユーロ圏)は、日本と米国の中間で、20年初は急落し、その後ゼロかマイナス近辺だったが、今年初めからプラスに転じ、いまでは4%を超えている。

短期的なインフレ率の動向は、総供給と総需要の動きでほぼ決まる。総供給は潜在国内総生産(GDP)水準とみてもいいので、実際のGDPと潜在GDPとのギャップの大きさがインフレ率を決めるとしてもいい。GDPが潜在GDPを上回るほどインフレ率は高くなる。

潜在GDPは短期的にはあまり動かないので、マクロ政策の財政・金融政策でほぼGDPが決まる。つまり結果としてインフレ率は財政・金融政策次第だといえる。

米国の場合、コロナ後の景気回復とともに猛烈な積極財政を行ったため、実際のGDPが潜在GDPを上回ってしまった。そこでインフレ率が高くなり、金融政策を引き締めざるを得なくなった。

日本の場合、先進国では米国に次いで積極財政を決めたが、実際の執行がはかどらずGDPの押し上げが不十分だった。このため、日本は欧州より物価の上がりが遅れてしまった。

昨年は予算未消化が過去最高の30兆円程度あった。筆者は予算執行が想定外に進捗(しんちょく)しなかったことに驚き、政府内の検証を求めたが、真相は今のところはっきりしていない。補助金系支出は執行に難があることがしばしばだが、給付金・減税系ではほぼ確実に執行される。日本では他の先進国と比較してその比率が低いことが原因だろう。

インフレが世界的な流れということで、日本の金融政策も欧米と同じように引き締めを求める論調が一部にある。原油価格の上昇に対処するために為替を円高方向に進める必要があるというが、それは金融引き締めなので国内経済全体をみればかえって逆効果になる。

インフレ率からみれば、金融引き締めは愚策だ。積極財政に期待できないなか、金融政策を引き締めたら、デフレに逆戻りしてしまうからだ。インフレ目標をかなりオーバーするまでは金融引き締めをしてはいけない。実際、欧米もインフレ率が目標を超えても辛抱強く金融緩和を続けた。こうした姿勢をビハインド・ザ・カーブといい、伝統的な金融政策だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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