やめるなんていわせない! 「最後の角川春樹」考

若村麻由美 14年ぶりに出演オファー 族長から好々爺に変身した「みをつくし料理帖」1/2ページ

若村麻由美と角川春樹(提供写真)
若村麻由美と角川春樹(提供写真)

「僕の最後の監督作品だから出てもらえないか」

映画『みをつくし料理帖』(2021年)のお話を角川さんご本人から電話でいただいたときは、驚きとともにそのストレートな言葉に強い思いを感じて、内容も役も聞かずに「はい」と即答しました。

映画『蒼き狼~地果て海尽きるまで~』(07年)でチンギス・ハーンの母親役のお話をいただいたのが、お会いした最初ですが、戦国時代を生き抜いた武将のような風格と目の奥の優しさが印象的でした。

何カ月間にも及んだモンゴルロケでは劇的な出来事がたくさんありましたが、製作総指揮として自然と全体を統率される様子は、まるで劇中の「族長」のように見えました。

カメラが回っていない時にも役者をよく見ていらして、私は10~60代を生きる大役だったので不安を見抜かれたのでしょうか。「若村は力があるから大丈夫」という言葉に励まされました。私の孫役はまだ初々しかった松山ケンイチさんで、とっても緊張されてましたが、角川さんは将来を見据えた話をされ、役者を育てる愛情が深い方だと思いました。

『みをつくし料理帖』のお話はそれから14年ぶりでした。小学校に通う息子さんの父親として「学校行事は皆勤賞だよ。運動会では走ってきた」なんてお話しされるんです。族長から好々爺に変身なさってびっくりしました。でも映画への情熱はまったく変わっていなくて、クランクインしてからも役者に本読みさせるほど、台本の解釈の大切さを伝えているのを見学しました。

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