第3弾の舞台は地中海のマルタ島。世界的資産家の財宝を狙ってダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)、五十嵐の詐欺師チームが島に乗り込み…。
「3人をひっかき回すのが五十嵐の役目。そう思って演じました。実は『TOKYO MER』の撮影中、五十嵐のナレーション収録があったのですが、役作りの必要がなかった。すぐに五十嵐のスイッチが入って。ここが僕のホームなんだと気づきました」
突如現れた40代の俳優を称し、「『シンデレラおじさん』と呼ばれましたが、この言葉を作ったのは…僕なんです。ただ、自分としては、俳優として階段を一歩一歩上がってきた結果だと思っています」。
こう語る通り、三谷幸喜演出の舞台などに上がり続けてきた実力派だ。
「でも、ドラマ出演によってつかんだきっかけは多い。コンフィデンスマンを通じてチャンスが広がったのは間違いないですね」
ブレークし、小手伸也の名も広く世間に浸透した。それでも「役名で呼ばれたい」はまったく揺るがない。
「ええ。これからも五十嵐と呼ばれたい」と力強くうなずく。
「だって、長澤さんは絶対に僕のことを五十嵐と思っていますから。ロケ先で僕だけプールに誘ってくれる。それは僕が五十嵐だからですよ」
目の前で〝五十嵐〟が会心の笑みを浮かべた。
(ペン・波多野康雅 カメラ・前川純一郎)
■小手伸也(こて・しんや) 1973年12月25日生まれ、48歳。神奈川県出身。早稲田大学教育学部卒業。劇団「innerchild」主宰。舞台俳優の一方、映画やテレビに出演。2009年、「不灯港」で映画初主演。18年から長澤まさみ主演のテレビドラマ「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ系)、織田裕二主演の「SUITS/スーツ」(同)など人気シリーズに出演。