断末魔の中国

中国経済は「二度死ぬ」 2015年から始まっていた衰退…当局による〝荒療治〟もさらに猛烈なバブル招来1/1ページ

中国江蘇省蘇州にある恒大集団の建設現場(ロイター)
中国江蘇省蘇州にある恒大集団の建設現場(ロイター)

中国経済の衰退は2015年から始まっていた。同年8月15日の上海株暴落に対して、当局は普通の国なら思いつきもしない荒療治に出た。

「株を売るな」「悪質な空売りは罰する」と命じて、市場を事実上凍結、裏から証券会社に資金をぶち込んでの「緊急カンフル注射」という生命維持装置で何とか延命した。

しかし、このパッチワークは、さらに猛烈なバブルを招来させる。

辛うじて倒産を回避できたのは米欧ファンドの中国投資の継続と、外国企業の中国工場維持による外貨獲得が継続できたからだ。だが、無理がたたり、傷口はかえって広がる。

国内的には「未曽有の不動産投資」が起こった。不動産販売から広告代理店の末端までを含めると、GDP(国内総生産)のおよそ30%である。いずれもが末期症状となり、デフォルト(債務不履行)が24・3%増(21年第1四半期)

第1に、不動産バブルはとうに崩壊している。事実を隠蔽してきたが、頭隠して尻隠さず、惨状に近い真相が露呈した。各地の建設現場のクレーンがとまり、生コンは稼働しているところは少なく、テント村の労働者は給料不払いで田舎へ帰る金さえない。

第2に、金融と直結する今後の難題が「不動産ローンの行方」だ。頭金を支払い、ローン契約を組んだのに物件引き渡しができない。建設が中断したからだ。そのうえ投資した人々の多くが、実は共産党員である。だから、中国不動産大手「中国恒大集団」は事実上倒産しているにもかかわらず、息の根を止められないのだ。

第3に、異様な人民元高による輸出競争力の劇的な低下がある。

第4に、起死回生を狙うグリーンビジネス、EVプロジェクトだが、株式市場の動きをみていると、風力、太陽光パネルなどで、かつての期待は急速にしぼみ、むしろグリーン・スタグフレーション(=景気停滞と物価上昇が同時進行する)の傾向が顕著となった。

第5に、中央銀行は預金準備率を0・5%引き下げ、市場へ邦貨換算で21兆円のカンフル注射、ついでプライムレート(=優良の企業に貸し出す際の最優遇貸出金利)を0・05%引き下げ3・8%としたが砂漠に水だった。

名門のIT大手「北大方正集団」、国有半導体大手「紫光集団」の外貨建社債も債務不履行。SNS産業の「黄金の日々」は終わり、61社の社債が紙くずと化し、新規起債、CP(短期社債)発行は不能となった。ゲーム産業と家庭教師、予備校の失業は1000万人。それでも当局は今後しばらく、ごまかし作戦を続けるだろう。

■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 評論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウォッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書に『中国が台湾を侵略する日』(ワック)、『歩いてみて解けた「古事記」の謎』(育鵬社)、『日本の保守』(ビジネス社)など多数。

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