相手の渡辺も驚いたかと思うが、もしかしたら藤井の持つハイスペックのAIでは、よく出てくる手かも知れない。私のかなり性能の落ちるAIも、違う局面で似たような手を示していたからだ。
将棋は最後までどちらが勝ちか判断の難しい形勢だったが、渡辺が優勢になったかと思った瞬間、一手ためらったことで形勢は藤井に傾き、最後は藤井が得意の詰みを読み切る形で勝利した。
渡辺にしたら、過去6連勝していた掛川対局だったが、初黒星となった。
いつも思うことだが、藤井の勝ち方は相手にダメージを与える勝ち方が多い気がする。
相手が「悪い手を指したから負けても仕方ないな」でなく、「この男の将棋は得体のしれないものがある」と思わせることだ。これを渡辺が克服できるかどうかが、注目の七番勝負となった。