渡辺明王将に藤井聡太竜王が挑戦する、第71期ALSOK杯王将戦七番勝負が、年明け早々の9日、静岡県掛川市「掛川城・二の丸茶室」で始まった。
注目は藤井の最年少王将と、最年少五冠なるかだから、マスコミがほっておく筈はなく、前夜祭には7、8台のテレビカメラが入っていた。こんな光景は、私も長年前夜祭に出たが、初めてだ。
今回はコロナの影響もあり、前夜祭に一般客は入れてないが、関係者だけで100人を超えた。私の隣に座ったのは、昨年のクラウドファンディングで招待されるはずだったファンで、今年に振り替わって喜んでいた。
掛川市で王将戦が開催されるのは13年連続であり、地元からすればまさに「やってて良かった王将戦」であろう。
今期からALSOKが冠となり、協賛に立飛ホールディングスが入っているから、運営面も万全だ。
翌日の1日目。先手となった藤井は相掛かり戦に誘導。若手有利と言われる初手を見た渡辺は「やっぱりそうか」という顔をしたが、逃げる訳にはいかないとばかりに、相手に追随した。
しかし将棋は序盤早々、藤井はほとんどのプロを驚かせる一手を出す。
強力な飛車の前に歩を進める手を見た、副立ち合いの神谷広志八段が「これが良い手なら今まで習ったことはすべて間違いだった」。立ち合いの森内俊之九段は「未来の将棋かも知れない」と言ったそうである。