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南太平洋・トンガ沖で発生した海底火山の大規模噴火は、噴煙が高さが約20キロ、半径約240キロも広がったとされる。今後、大気中に粉塵(ふんじん)が長時間とどまり、太陽光を遮断することで地球が寒冷化する可能性がある。農業や畜産業に影響が及べば食糧危機となり、「脱炭素」で注目される太陽光発電にもダメージになりかねない。
「100年に一度」「1000年に一度」とも表現される、トンガ沖の海底火山「フンガトンガ・フンガハーパイ」の大噴火。
災害史に詳しい立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授は「今回のように大規模な噴煙が出た例としては、1991年のフィリピン・ルソン島にあるピナトゥボ火山の噴火がある。当時は噴煙が成層圏までに達し、日光を遮断したために93年ごろまで冷夏に襲われた。今回も噴煙の継続次第では『地球全体の寒冷化』が発生し、農作物への被害が出る可能性がある」と指摘した。
20世紀最大といわれるピナトゥボ火山の噴火は、大量の二酸化硫黄ガスを中心としたエアロゾル(空気中に微粒子が多数浮かんだ状態)が成層圏に放出され、地球規模で気温が約0・5度低下した。北半球では、例年に比べ、2度ほど低い地域も出て、農作物が不作となった。日本でも93年に記録的な冷夏を記録し、政府はタイ米などを緊急輸入した。