2021年は電車内で乗客が襲われる事件が相次いだ。犯罪に遭遇した場合、自分の身を守り周囲の乗客を助けるためには、車内の非常装置や車両構造をあらかじめ把握しておくことが重要だ。JR東日本の担当者とともに、東京都心の山手線で使用されている通勤電車「E235系」の設備を確認した。
■通報
防犯カメラは1両に4台設置され、客室内を撮影、録画している。死角はほぼない。犯罪や火災など緊急事態が発生した時に、乗務員が運転台の画面で確認できる仕組みになっている。
乗客が異変を察知し、乗務員に伝えるために使うのが「非常通話装置」だ。赤地のSOSマークが目印で、ボタンを押せば「ピーピー」という警報音が鳴り、乗務員の応答により会話できるようになる。「号車番号や状況を簡潔かつ具体的に伝えてほしい」と担当者は協力を求める。
ただ乗客は気が動転してボタンを押すだけだったり、複数の車両でほぼ同時に押されたりするケースも想定される。JR東では、複数箇所で扱われたのに乗客の返事がない場合、緊急時に近くの電車を止める「防護無線」を発し、トンネルや橋など停車がかえって危険になる場所は避けて、すぐに止めることを基本としている。