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緊迫化するウクライナ情勢で、ジョー・バイデン大統領の米国とNATO(北大西洋条約機構)諸国との足並みがそろわない。ドイツは、ウラジーミル・プーチン大統領のロシアに宥和的だ。
足元を見てロシアは米国への要求をつり上げている。「相互安全保障のための条約案」を突き付けたのだ(産経新聞、1月14日付)。米国にNATOをこれ以上、東方展開させないと確約させたうえに、旧ソ連構成国との同盟の拒否を求めるものだ。
NATO加盟を望むウクライナやジョージア(グルジア)を念頭に置いたものとされるが、すでにNATOに加盟しているバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)との同盟関係解消を迫っているとも解釈できる。すべての核兵器はそれぞれの本土に引き揚げる―ともしており、欧州への米国の「核の傘」を弱体化させる狙いだ。
米国がNATO非加盟の旧ソ連構成国と軍事協力を行うことを禁じ、「いかなる枠組みの下においてもロシアの脅威となり得る地域への軍事力の配備」を禁じるとの条項もある。実現すれば、NATOは形骸化し、東欧諸国やバルト三国は事実上、ロシアの影響下に入る。
「ロシアの脅威となり得る地域」に極東が含まれる可能性もある。在日米軍は極東ロシアへの脅威だと言い出しかねない。そうなれば、日本の安全保障に大きな影響を及ぼす。それを歓迎するのは中国の習近平国家主席だ。