もともとこの説は1952年に起きた十勝沖地震(M8・2)で唱えられたものだ。50年にM7・5の地震が343キロメートルの深さで起き、それが引き金になって十勝沖地震が起きたのではないかというものだった。いずれも太平洋プレートの上にあり、プレートが潜り込んでいるところだ。
その後、関東地方の浅い地震が、岐阜・高山地方を中心にした飛騨の深い地震の起きた後で起きた例が多数あることが発表された。40年あまりにわたっての気象庁のすべての地震を統計的に調べ上げたものだ。ここも潜り込んでいる太平洋プレートの上にあった。
さらに2003年9月に起きた十勝沖地震(M8・0)でも、先駆けとして深い大きな地震2つ(1990年、M7・2、深さ約500キロメートルと2003年7月、M7・1、深さ487キロメートル)が同じ太平洋プレートで起きていたことが報告されている。
深発地震が起きてから浅い地震が起きるまでの期間は2カ月~13年とばらつきがある。このばらつきでは、いずれ起きるかも、は分かっても、当面の地震の予知には役立たない。だが、ひとつながりのプレートの上で起きる地震だから、あり得る話だ。