「不思議の国のアリス」や「ドラえもん」、「あつまれどうぶつの森」などゲームにも登場する奇怪な巨鳥ドードー。実はほんの400年前まで実在し、江戸時代の日本にもやって来た。その消息を追って、科学ジャーナリストで小説家の川端裕人さんが古今東西を往来して紡いだ希有なノンフィクションである。 (文・冨安京子/写真・RIN)
◇
世界股に取材したノンフィクション
――頭でっかちで太っちょのドードーはアニメなどの人気キャラクター
「骨格標本や文献、復元図などから、今ではアリスなどに出てくるよりスマートで体重は約10キロ台、体高65センチ前後、褐色から灰色の羽根に覆われ、頭部は顔の裸出部と羽毛の部分との切り替わりがあってフードをかぶったような姿だっただろう、と。ハト科に属する鳥で、多くは謎に包まれたままです」
――ドードーに興味を持ったのは
「10代の頃でした。当時生き物の絶滅についてのキャンペーンやイベントが盛んで、ロバート・シルヴァーバーグの『地上から消えた動物』などの本を読みふけりドードーを知りました。今回改めて調べると1598年にインド洋のモーリシャス島を訪れたオランダのファン・ネック艦隊の報告が最初で、1662年に難破船の船員たちが捕獲したのが最後。国際自然保護連合のレッドリストはこの年を絶滅年としました。発見されて1世紀もたたないうちに絶滅してしまったんです。人の影響で絶滅したとはっきりわかった最初の絶滅動物で、ゆえに今では絶滅の象徴にもなっています」