目指しているのは、大人が遊べる乗り物。航続距離は150キロを目指す。将来的にはモジュール化によって、ワンボックス車だけでなく、いろいろな車種の展開を計画する。
「バックヤードビルダーとして数百台というような単位のビジネスは考えていません。数万台の規模で世界に販売したいと思っています」
楠さんはユーチューバーに転身する前は、四駆やSUVのカスタムショップを経営していた。会社を売却後、バイクや自動車をカスタムする動画を発信しているうちに、反響や人脈が広がり、長年の夢だった「自動車メーカーへの新規参入」が実現できるかもしれない、と考え始めたという。
「どこかに今さら車を作っても…という諦めがあった。でも、ゲームチェンジができるチャンスがきた。テスラがいい例ですが、新規メーカーとしてビジネスになる。それを多くの人に見せていきたい、いまはそう思っています」(楠さん)
20年春にKGモーターズを設立し、旋盤や溶接機などを備えた自社工場を整備、オリジナルEVの開発に取り組んできた。事業化へのステップとして、「自分たちの作りたいものを一目でわかってもらえるプロトタイプ」を製作することにしたという。
かたちになった「T―BOX」には反響が続々。「女性が『かわいい!』と反応してくれたのがうれしかった」という。今後、実走テストなどを重ねて、市販モデルの開発につなげていく。 (ライター 篠原知存)