2011年3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)では、自衛隊は災害派遣としては最大規模のオペレーションを実施した。人員約10万7000人(陸上自衛隊約7万人、海上自衛隊約1万5000人、航空自衛隊約2万1600人、福島第1原発対処約500人)を動員。予備自衛官も初めて招集された。航空機約540機、艦艇59隻が派遣された。
自衛隊の活動する姿は、東北の被災地の人々だけでなく、日本全国から高い信頼を得たことは記憶に新しい。国民の多くが災害時の自衛隊の活動に期待していることは、内閣府が3年に1回実施している「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」の結果などからも明らかだ。
ちなみに、初の災害派遣は、警察予備隊当時の1951年10月14日から15日にかけて、九州地方に上陸したルース台風のときだ。陸自普通科第11連隊(当時)の隊員延べ2700人が、当時の吉田茂首相の命令により、同月20日から26日にかけて山口県玖珂郡広瀬町(現・岩国市)に派遣され、救助活動を行った。
今後起こることが予想されている南海トラフ巨大地震などの広域災害の場合、陸海空自衛隊約23万人だけで対応できるかは、甚だ疑問だ。それに加え、少子化の中で、新隊員の募集状況も悪化している。現状でも、充足率を下回っている部隊や艦艇が数多くある。安定的に新隊員を確保できなくなれば、自衛隊は機能麻痺(まひ)状態となる。