
その他の写真を見る (1/5枚)
1930年代後半、米国と英国、中国、オランダの各国が日本を経済封鎖した「ABCD包囲網」は、第二次世界大戦突入の背景の一つとされる。それから80年余り、軍事的覇権拡大や人権問題が指摘される中国に対し、新たな「ABCD包囲網」が形成されていると指摘するのは、国際投資アナリストの大原浩氏だ。北京冬季五輪の開幕まで1週間を切ったが、米国と台湾のナンバー2が接触するなど、米中の外交的駆け引きは熱い。岸田文雄首相に「戦略と覚悟」はあるのか。寄稿の中で大原氏は「日本も明確な意思表示が求められる」と強調する。
◇
第二次大戦前、米国(America)、英国(Britain)、中国(China)、オランダ(Dutch)による包囲網に日本は苦しめられ、状況打開のために真珠湾攻撃に至ったともいえる。
戦後の長い歳月によって国際政治の力学は大きく変わった。日本は米英など5カ国による機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」から、6番目の加盟国として秋波を送られる状態だ。協定は米英の第二次大戦中の機密情報の共有から始まったもので、それが今回、中国の包囲網を構築しつつある。
もっとも現在の米国が、民主党のバイデン政権であるのは気がかりだ。敵国でもドイツ系やイタリア系にはお構いなしで、日系人だけを強制収容所に押し込んだフランクリン・ルーズベルト政権以来の米民主党の伝統を受け継いでいると筆者は考えるからである。