国の債務超過が655兆円で、13年連続で過去最大になったと報じられた。こうした発表や報道の背景にある意図や、「債務超過」の実態はどうか。
例年、1月下旬に「国の財務諸表」、3月下旬に「連結財務諸表」が公表されているが、あまり報道されてこなかった。これらの財務諸表は財務省のホームページ上に掲載されているが、財務省が積極的にマスコミに説明してこなかったという経緯もある。
これまでの報道は、借金の額が大きいというだけで、資産に言及するものは少なかった。今回、NHKは「国の財務諸表」として資産額にも言及したので、一歩前進だといえる。
ただし、まだ問題がある。債務超過についての考え方だ。財務省の資料では「資産と負債の差額である資産・負債差額については、その大部分が過去における超過費用の累積であることから、概念的には、将来への負担の先送りである特例国債の残高に近いものとなります」とされている。
NHKも「3度の補正予算の財源として国債の発行額が増えたことで、債務超過の増加額もこれまでで最も大きくなりました」と報じていた。であれば、国だけではなく、国の関係機関を含めた連結ベースで見なければならない。