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断捨離、断捨離…と〝いらないモノ〟を捨てまくる世の女房ドノ。えっ、アンタ(夫)が一番の粗大ゴミだって? てやんでぇ。人生の思い出がいっぱい詰まった大切なモノを、そう簡単に捨てられてたまるかい、と意気込んでみても、スリム化、ダウン・サイジングといった「世界的なトレンド」の前では、どうにも旗色が悪い。
そんなときに、強い味方が現れた。人生の先達とも言うべき作家の五木寛之さん(89)。新刊『捨てない生きかた』(マガジンハウス)で、モノだけではなく、ヒトや歴史までバッサリ切り捨てようとしている社会に疑問を呈してくれる。
「確かに『断捨離』は世界的な趨勢。それに逆行する本を書くには勇気がいりましたよ(苦笑)。でもね、一方では、カーボンニュートラルや(プラスチックごみなどの)海洋投棄など『捨てるほう』も問題化しているでしょう。僕はひねくれているから『捨てない生きかた』があってもいいじゃないか、って言いたかったのです」
取材のときに身に着けていたジャケットはなんと半世紀以上前のもの。ほころびひとつない。体形はほぼ不変。体重は、ずっと55・5キロをキープしている。ほかにも、靴、鞄、本、はては生原稿に至るまで、簡単には捨てない。
「とは言っても『臨界点』があって、それ以上はためない。だいたい50年前くらいかな。学生時代のものを残していたら懐かしかったでしょうね」