従って、総勢23人の乗船者に、私以外に報道関係者はいなかった。私は尖閣諸島に1度上陸し、周辺海域を9回取材している。いわば「水先案内人」のような立場で参加した。
尖閣周辺の調査は約3時間で、思った以上の成果を出せたようだ。
中山市長は語った。
「調査船から見た魚釣島は、山の高さもあって思ったよりも大きく、『石垣市の宝』『日本の宝』だと感じた。(2000トン級の)大型船による調査は、2012年の東京都による洋上調査以来、10年ぶりのことだ。これを機に今後、石垣島のウミンチュ(海人=漁師)が安全な操業が可能になるように、また日本の船舶が自由に往来できるようになればいい。さらに先のことを考えれば、魚釣島に人的配備は必要だ。そのためにも石垣市が積極的な島の管理や運営を図ることが重要だ」
その表情から、尖閣諸島を守り抜く意気込みを感じた。
■山本皓一(やまもと・こういち) 1943年、香川県生まれ。日大芸術学部を卒業後、渡米。出版社を経て、フリーランスのフォト・ジャーナリストに。田中角栄元首相に2年半密着したほか、世界各国のルポルタージュや、湾岸戦争、ソ連崩壊、北朝鮮などをカバー。近年は尖閣諸島や北方領土、竹島など、日本の国境の島々も取材する。著書に『素顔の田中角栄 密着! 最後の1000日間』(宝島社新書)、『日本人が行けない「日本領土」』(小学館)、『日本人がもっと好きになる尖閣諸島10の物語』(宝島社)など多数。