【あらすじ】 2020年春から1年間に6つの家庭に起きた、介護を巡る6つの物語。
金沢の川のほとりに立つまほろば診療所は、訪問診療を担うクリニックだ。院長の仙川徹、東京の大病院から移った白石咲和子、この春に研修医生活を終えて、診療所で働き始めた新米医師の野呂聖二。そして、頼もしい看護師の星野麻世らが今日も訪問診療を続けている。
行く先々の家庭はさまざまな介護の問題を抱えている。そうした患者、家庭に向き合う若き医師、野呂聖二。これは各家庭のヒューマンドラマであり、野呂聖二の成長物語でもある。
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人が様々ないきさつから在宅医療を受ける。そこには人の数だけ濃密な物語が生まれるのだと、前作『いのちの停車場』から感じることができました。本作でまほろば診療所の人々と再会する喜びをかみしめながら、彼らの物語に寄り添えるような絵を描けたらと思います。
■夜久かおり(やく・かおり)1985年熊本県生まれ。坂川栄治装画塾2016年度第一期修了。書籍の装画、文芸誌の挿画、絵本の作画などの分野で活動している。