/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/GTIXZRJLFJJORMOFTSXP62IIWE.jpg)
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がおもむろに利上げに動いている。高インフレ抑制のためだという。実施は3月からだがパウエル氏がそれを予告したのは1月26日で、ひと月以上の間が開いている。利上げを電撃的に行う時代とは隔世の感有りだが、本当は何が狙いなのか。
インフレ退治のための金融引き締めで思い出すのは、1979年10月6日土曜日の「サタデーナイト・スペシャル」である。FRB議長就任後ひと月余りのポール・ボルカー氏は、金融エリートたちがリラックスするはずの土曜に連邦公開市場委員会(FOMC)を緊急招集し、金利中心だった政策手段を変更して通貨供給量(現金と預金の総量)の圧縮を図る激烈な金融引き締め策を決定した。
当時、米国ではイランのホメイニ革命が引き金になった第2次石油危機によって物価が高騰、市場金利もFRBの利上げで物価上昇率と同じく二桁台に乗っていた。市場が受けた衝撃はすさまじく、金利上昇は続き、物価上昇も収まらなかった。金利は81年夏には20%近くまで高騰したが、物価とほぼ同時並行で下がり始め、「スペシャル」から3年後の82年秋、金利はひと桁台に、物価上昇率は5%台まで下がった。