4日に北京冬季五輪の開会式が行われる。人権問題や経済、安全保障など習近平政権の国内外の現状と、五輪後の課題はどのようなものがあるのか。
1日の衆院本会議で「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」が採択された。筆者は関係議員からこの問題について聞く機会がしばしばあり、この決議文にいたる経緯を知っていた。結論からいえば、遅きに失して、しかも決議文に「中国」が一度も登場せず、「非難」「人権侵害」といった重要な表現も削除された骨抜きの内容だ。
当初決議案が、自民、公明の与党内調整でどのように修正されていったのかは、関係者のネットをみれば簡単に分かる。
「名指しはなくても中国の人権侵害を非難していることは分かる」という人もいるが、この決議案を英訳すると、誰も非難していないことになる。
次期夏季五輪開催国であるフランスでも、議会では中国によるウイグル族への人権侵害を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定し、非難する決議が出たのと好対照だ。先進国ではよくあることだが、フランス政府は次期五輪を控えて慎重だが、議会はその政府に圧力を加えるものとなった。