2月、河津桜の季節だ。濃いピンク色の花を咲かせる河津桜は、まだ寒い季節にいち早く春の訪れを告げる、早咲きのサクラだ。静岡県河津町にこのサクラの原木があることから、地名を取って「河津桜」と名付けられている。
河津町では町内のあちこちで河津桜が見られ、なかでも町内を流れる河津川沿いの桜並木は壮観だ。サクラの足元には菜の花畑もしつらえられ、色鮮やかな花風景を楽しめる。例年見頃の時期に合わせて河津桜まつりが開催され、多くの観光客で賑わっている。
この時期に歩きたいのが、伊豆急行河津駅の東北方向に位置する河津城山。標高181メートルの低山ではあるが、山頂からは河津の町並みや河津川が眺められ、川沿いがピンク色に染まっているのも見渡せるだろう。海の眺めもよく、天気に恵まれれば伊豆大島まで臨める。河津駅から40分程度で山頂に立てる手軽さも魅力だ。
一昨年、2月半ばに河津町を訪れた。天気がよく、やや肌寒いなかをのんびり歩いて河津城山の山頂を目指した。戦国時代にはこの山頂に河津城が築かれていたそうで、今も登山道の途中には石垣や石畳が少し残っている。おだやかな顔の石仏も見つけてほっこりする。最後にひと登りで山頂に到着。山頂にも河津桜の大木があり、花を咲かせていた。すぐそばにベンチとテーブルがあり、地元の方らしきグループが楽しそうに語らっていた。きっといつもこの時期に来ているんだろうなあ…。