
自民党内の「積極財政派」の言動が活発化している。9日、同党衆院当選4回以下、参院当選2回以下の議員が「責任ある積極財政を推進する議員連盟」を立ち上げる。設立総会のその日、安倍晋三元首相が講師として招かれている。まさに「安倍応援団」である。
同議連の共同代表は、中村裕之農水副大臣(衆院当選4回・麻生派)だ。麻生派(志公会)の領袖(りょうしゅう)は麻生太郎副総裁である。麻生氏は、昨年12月に発足した岸田文雄首相(党総裁)直轄の「財政健全化推進本部」(本部長・額賀福志郎元財務相)の最高顧問でもある。
矛盾しているかに見える。なぜならば、積極財政派の中村氏は財政規律を求める財務省の大臣を戦後最長の8年9カ月も務めた大ボスに逆らうことになるからだ。
しかし、政治の世界は摩訶(まか)不思議なことはいくらでも起こり得る。
さて、本稿で取り上げるのは安倍氏だ。先の財政健全化推進本部とは対立関係にある、高市早苗政調会長主導で設立された「財政政策検討本部」(本部長・西田昌司同代理)の最高顧問が安倍氏である。