バイデン米政権が日本政府に対し、ウクライナ情勢が緊迫化し、ロシアが欧州向け天然ガスの供給を絞ることに備えて、日本が輸入する液化天然ガス(LNG)の一部を欧州向けに融通できないか要請してきたという。
エネルギー政策は、多種多様なエネルギー源をミックスし、安定的な供給をできるだけ安いコストで行うことを目標としている。その際、安全保障の観点から、一定の国内供給を確保するのがいい。ただし、国内供給は安定的な供給になるが、国内資源がないことやコストの面で不利になることもあるので、多くの国では海外供給にも頼らざるを得ない。
エネルギー自給率を2018年の経済協力開発機構(OECD)35カ国でみると、米国97・7%(5位)、英国70・4%(11位)、フランス55・1%(16位)、ドイツ37・4%(22位)、日本11・8%(34位)となっている。
各国のエネルギー政策は、この10年くらいで大きな外部環境の変化にさらされた。2011年の東日本大震災で、福島第1原発が大事故を起こしたので、ドイツでは脱原発の動きになり、日本でも原発再稼働が簡単にできなくなっている。
その上、脱炭素化の流れも、各国のエネルギー政策の長期的な動向に影響を与えている。各国において、脱石炭火力の動きが進むとともに、短期的には天然ガス火力へのシフト、さらに中期的には再生可能エネルギーへのシフトが起きた。