スポーツ随想

フィギュア、スノボは回転がすべてか…競技の本質が置き去りに 「男の子は回転の練習ばかりしたがり…ダンスの要素は軽視されがち」2/2ページ

現に女子で銅メダルに輝いた富田せなは、2019年の中国W杯で練習中に転倒し、脳挫傷の大けがを負っている。どこかで歯止めをかける必要もありそうだ。

「より速く、より高く、より強く」はいわずと知れた五輪の標語だが、近年はこれに「より回る」が加わっている感じだ。フィギュアスケートも「演技構成」の美しさなどどこへやらで、近頃は回転がすべてのような感じだ。

北京ではフィギュアの男子フリーで羽生結弦が前人未到の4回転半(クワッドアクセル)に挑戦。右足だけで着氷を試み回転不足で転倒したが、国際スケート連盟(ISU)は「2分の1回転以上かつ4分の3回転未満」と規定内の着氷として認定した。

さっそく「人類初の4回転半」と大騒ぎになったが、成功しなかったのに「認定」というのも素人には何か釈然としない。まるでISUが「回転熱」を煽っているのではとも思ってしまう。

子供たちを教えている、あるインストラクターは「最近は女の子はともかく、男の子は回転の練習ばかりしたがってダンスの要素は軽視されがち。フィギュアが違った方向に進んでいる感じだ」と嘆いたとか。

誰もやったことのない大技への挑戦が選手にとっての使命かもしれない。しかし、回転数だけ追っていては、フィギュアもスノーボードもいろいろな要素で成り立っている競技の本質が置き去りにされるのでは、とつい心配になる。 (作家・神谷光男)

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