文氏は「これで22年の大統領選も大丈夫」と思ったに違いない。ところが、彼が後継者と考えていた人材は、娘の入試のための不正、セクハラ露見などで次々と消えていった。そして、与党の予備選挙で大統領候補になったのは、「スキャンダルの百貨店」とも呼ばれる李前京畿道知事だった。
2月第3週初めの選挙情勢は、尹氏が鼻の差リードしているようだ。しかし、尹氏がこのまま逃げ切り5月には大統領に就任し、文氏はすぐに監獄へ―という見方は甘すぎる。
文氏がなぜ、「韓国版ゲシュタポ」とされる高位公職者犯罪捜査処(公捜処)を強引な手法でつくったかを考えてみなくてはならない。自分を監獄に送りかねない政治家が、政治権力を握ることを阻止するためにつくったのが公捜処だ。
だから、1つのシナリオは、こうなる。
尹氏の当選が確実になったとき、あるいは当選確定後、公捜処が尹氏を逮捕してしまう。罪名なんて後から考えればいいことだ。
当選人逮捕を受けて中央選管委が選挙そのものの無効を宣言するのか、2位の繰り上げ当選を認定するかは、恐らく1、2位の得票差による。