高等学校の2022年度学習指導要領で、家庭科の授業に株式や投資信託などの話題を含む金融教育が必修化される。金融庁は「貯蓄から投資へ」のかけ声の下に、14年にNISA(少額投資非課税制度)、18年にはつみたてNISAといった税制面で有利な投資の制度を導入するなど、国民の有価証券投資を通じた資産形成の普及に力を入れてきた。新たに教育が加わる。
もっとも、世間の関心の呼び覚ましには19年に勃発した「老後2000万円問題」が結果的に大規模な「炎上マーケティング」になったことの効果が大きかった。
日本経済新聞(2月5日夕刊)の報道では、複数の証券会社が出張授業を行ったり、教材を作成・提供したりする取り組みを進めているという。率直に言って、高校の教員自身が投資に不案内な場合が多かろうから、金融機関の協力をありがたいと思う学校があることは想像に難くない。記事には「現場のプロである証券会社から直接教わる利点は大きい」という教諭の声を紹介している。
しかし、証券マンを資産形成のプロと見るのは危険だ。彼らは、証券売買のプロ、もっと正確に言うなら手数料稼ぎのプロなのであって、あるべき金融教育の中では、正しく警戒する必要性を教えるべき対象だ。