新書のきゅうしょ

「高度成長のひずみ」不安な時代を象徴 五島勉著「ノストラダムスの大予言」(ノン・ブック、1973年)1/2ページ

『ノストラダムスの大予言』は累計200万部を超えるベストセラーになった書である。発売時、オカルトに関心の薄かった私も新聞記事下に大きな広告が出ていたのを覚えている。その際感じたのが、五島勉っていったい誰? との疑問。あの頃よく売れた遠藤周作や塩月弥栄子、曽野綾子などの著名作家の中、いきなり登場した未知の名にかなりとまどった。

実は著者は戦後、週刊誌の勃興期から長らくルポライターとして活動してきた。ロシア正教徒の家に生まれ、母から黙示録や予言の話を聞かされて育った。旧制高校時代にフランス語の教師にノストラダムスのことを教えられ、その後、古書店で見つけた本に彼の詩の訳文を見つけて調べ始めたという。長い助走期間の後にこそ生まれたヒット作だった。

本書の発売された1970年代前半は戦後高度成長のひずみが露わになった時代。環境汚染や人口爆発が生じローマクラブの「成長の限界」レポートも出た。73年にはオイルショックが起きる。そんな時代背景のもと刊行された書だ。同書では16世紀、当初医師でもあったノストラダムスが1999年7月の人類滅亡を予言していたと述べる。このまま繁栄が続くのだろうかとの当時の社会不安を具体的なパッケージにしてみせたのが当たった理由だろう。ちなみに小松左京の「日本沈没」も同じ73年の発刊だ。

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