北京冬季五輪閉幕直後の、プーチン氏の行動をどう見るか。
ロシアの軍事・安全保障政策に詳しい東大先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏は「最後までドイツ、フランスが外交努力を続けてきたが、プーチン氏は満足できず、ウクライナへのより強い影響力を求めているとみられる。今回の独立承認によって、15年の『ミンスク合意』が機能しなくなったといえ、まもなくロシア軍は公式に東部2地域に進駐し、未承認国家化するとみられる。ただ、現段階でロシア側の得るものがないため、さらなるエスカレーションの可能性がある。エスカレーションがあるとすれば、長くは待たないのではないか」とみる。
国連安全保障理事会の常任理事国ながら、19万人もの軍隊で恫喝(どうかつ)して現状を変更するロシアに対し、欧米諸国の「制裁」は効果があるのか。「台湾有事」への連動はあり得るのか。
国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一教授は「欧米による制裁といっても足並みがそろっていないため、『国境付近のロシア軍撤退』あたりが落としどころになるのではないか。中国が台湾に侵攻するのであれば、軍事的に一気に侵攻するか、もしくは親中共政権になったときに、香港のような特別行政区にする可能性が考えられる。現実となれば、ロシア以上の制裁対象になることはいうまでもない。岸田文雄政権は警戒を怠ってはならない」と指摘した。