新型コロナウイルスが「第6波」まで勢力を拡大するなか、例年、国内で秋から春にかけて流行するインフルエンザが極めて少ない状況だ。新型コロナとの二重苦になる懸念もあったが、昨シーズンを含め2季連続で低い。専門家は新型コロナの水際対策の影響で海外からの流入が少ないのが主因とみる。
厚生労働省などによると、全国の約5000の医療機関から7~13日の1週間に報告を受けた感染者数は14府県の37人。17年秋~18年春、18年秋~19年春の各シーズンのピーク時には1医療機関当たり全国で50人を超える報告があったが、今季は0・01人で、昨シーズンの0・02人と同様に少ない。昨年秋以降、流行入りの目安である1を上回った週はなく、学級閉鎖も兵庫県の1校だけだ。
中国や欧米では一部の地域で流行している。米疾病対策センター(CDC)は今シーズンに米国で少なくとも230万人が感染し、2万2000人が入院、1300人が死亡したとの推計を発表した。
日本感染症学会インフルエンザ委員会の委員長を務める石田直・倉敷中央病院副院長(呼吸器内科)は、手洗いやマスク着用などの徹底に加え「海外との人的交流を減らすことが日本ではより徹底されていたのだろう」と指摘。新型コロナの水際対策がインフルエンザの流行抑制にも効果があったとみている。