ウクライナ情勢が緊迫化しています。ジョー・バイデン米大統領は、ウラジーミル・プーチン大統領がウクライナに軍事侵攻すれば、前例のない経済制裁を科すと言います。一方でプーチン大統領は「NATO(北大西洋条約機構)が迫っている」と主張し、両者はかみ合っていません。
NATOはベルリンの壁の崩壊後、30カ国まで拡大しました。これに対し、プーチン大統領は、1990年2月の旧ソ連のゴルバチョフ書記長とベーカー米国務長官の会談で「米国が統一ドイツにとどまるうえで、NATOは1インチも東方に拡大しない」と「約束」したことを根拠に、「米国側が約束を破った」と主張しています。
こうしたこともあり、ロシア側は西側に不信感を抱いているのです。
ウクライナは地政学上、西側との間の緩衝地帯にあたり、ロシアにとっては国家安全保障の面で「命綱」だといえます。それだけに、NATOの東方不拡大を切実に訴えているのです。
プーチン大統領は2014年のクリミア併合時にウクライナと交わした「ミンスク合意」をあくまで履行するよう、ウクライナ側に求めています。歴史的にも同じスラブ民族が集う国が西側に「破壊される」ことに抵抗を感じているようです。