日本が学ぶべき教訓とは
ロシア軍のウクライナ侵攻は25日も継続している。米国防総省やウクライナ政府によると、ロシア軍は多方向から侵入し、首都キエフや各地の軍事施設を160発以上のミサイルで空爆した。ウクライナ軍兵士40人以上が死亡し、一般市民にも死傷者が出ているとの情報がある。国際秩序を破壊する許しがたい暴挙である。ロシア軍はチェルノブイリ原発を制圧し、キエフ陥落が近いとの報道もある。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「核保有国」であることを強調して恫喝(どうかつ)する。ジョー・バイデン米大統領は「プーチンは侵略者だ」と批判し、西側諸国とともに追加制裁を発表した。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は「日本が学ぶべき教訓」に迫った。
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プーチン大統領率いるロシア軍が24日、ウクライナ侵攻を始めた。米国は欧州や日本とともに経済制裁で戦争を抑止しようとしたが、効果はなかった。日本への教訓も、ここにある。
プーチン氏の強気を支えているのは、「米国やNATO(北大西洋条約機構)には、戦う意思がない」という判断だろう。ジョー・バイデン米大統領は昨年12月時点で、早くも「米軍は派遣しない」と明言していたからだ。
プーチン氏にとっては、どんな制裁を受けようと、米欧との戦争にならないなら、「ウクライナ侵攻は十分、リスクに見合う挑戦」なのだ。2014年のクリミア侵攻では、1年後にCNNのインタビューで「核兵器を使う準備をしていた」と語っている。
核戦争すら覚悟していた独裁者に対し、「戦争に勝利者はいない」などと言葉で説得しても、無駄だ。まして経済制裁では、とても止められない。