國友公司 実録・人間劇場

トーキョー路上編(9) ホームレスに「惨めな気持ち」抱かせる…手配師・京太郎のズバ抜けた才能「親が今の姿見たら泣くだろうなー」2/2ページ

間違えられた京太郎がかぶりを振っている。端から順番に配っているので、間違いなく私のところにも来るだろう。京太郎がジッと私のことを見ている。食料をもらえばまた何か言われるだろうし、逆にここでもらわなければそれこそ京太郎の思うツボである。私は詰将棋に負けた気分になった。

「アナタ、この前まで新宿にイマシタヨネ?」

外国人の一団は、都庁下に暮らしているときにも食料をくれた人たちだった。「また会えてウレシイ」「元気でヨカッタ」などと言っているが、遠くを見ながら耳をそばだてている京太郎が視界に入り、ひどく居心地が悪い。京太郎は私が食料を受け取ったことを確認すると、「お前よー、ボランティアなんかにタダ飯もらってよー、情けないと思わないのかよー」と言い残し、去っていった。

姿が見えなくなったことを確認し、外国人たちがくれたおにぎりを頰張っていると、あろうことか京太郎が引き返してきた。私は急いで食べかけのおにぎりをラップに包み、鞄に押し込んで抱え込んだ。おそらく、私がおにぎりを食べ始めた頃を見計らって引き返してきたのだろう。

私は西新宿のタワマンのゴミ捨て場で拾った敷布団を上野まで運び、枕まで用意して快適な路上生活を送っていた。しかし、「どうしたお前よー、こんなところに布団なんて敷いちゃってよー」という京太郎の言葉に心をえぐられ、勢いあまって捨ててしまった。周りのホームレスたちには、「何も捨てることないじゃないか、もったいない」と言われたが、人の施しで飯を食っていながら、敷布団などでよりよい寝心地を求めている自分が途端に恥ずかしくなってしまったのだ。これも、京太郎の思うツボである。

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