1961年にロンドンのナショナル・ギャラリーで起きた、ゴヤの「ウェリントン公爵」盗難事件の顚末(てんまつ)をユーモラスに描き出す。「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェルの長編遺作。25日公開。1時間35分。
世界屈指の美の殿堂で名画が盗難される。しかも犯人は年金暮らしのタクシー運転手(ジム・ブロードベント)で堂々と返しにきたのだ。やがて裁判で、テレビを心のよりどころにする孤独な高齢者たちのため、名画の身代金で受信料を肩代わりしようとしたという驚きの動機が明らかになる。
【ホンネ】妻(ヘレン・ミレン)に隠れて息子と2人でコソコソ隠す、もろド素人なドタバタが楽しい。名優たちの熟練技で、家族ドラマとしての見応えも十二分。だが最高なのは、英国ジョークがさえる裁判場面。彼の優しさにホロリと熱くなりつつ爆笑必至。もう一ひねりあるラストまで優しさと感動が詰まってる。 ★★★★(映画評論家・折田千鶴子) ★5つで満点、☆=星半分