日本美女目録 淡島千景という女優

原節子の友人役で、すでに大女優の片鱗が見え 『麥秋』(1951年)1/2ページ

舞台では長谷川一夫との共演も
舞台では長谷川一夫との共演も

淡島千景は宝塚から映画界へ入ると、いい映画と監督に恵まれ、たちまちトップスターに駆け上った。デビュー作「てんやわんや」に続いてこの「麥秋」でも主要キャストに名を連ねている。

手塚治虫が大ファンだったことは知る人ぞ知るところ。「リボンの騎士」のサファイヤは彼女がモデルだったと、後に明かしている。

主演は原節子だが、その重要な友人役として光る演技を見せている。この映画は「晩秋」(1949年)に続く原の「紀子3部作」の2作目。ただし第1作で父親役だった笠智衆は兄という設定。小津安二郎というと役者を固定することで有名だが、これは珍しかった。

小津が生涯独身だったことは有名だが、恥ずかしがり屋の彼は友人の結婚式に「そばにいて仲を取り持ってくれる友人がいないとうまくゆかないものだ」とポツリもらしている。そのため「矢部との結婚を決める紀子は小津の心情を現している」と映画評論家の佐藤忠男氏は分析する。

淡島は原とともに優雅に東京弁を話し未婚の女を演じているが、この10年後には駅前シリーズで森繁久彌を支えるしっかり者の女将を演じるのだから、その落差に驚く。この時、すでに大女優の片鱗(へんりん)が垣間見える。

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