ロシアのウクライナ全面侵攻を受けて、米国や欧州、日本は経済制裁の実施を打ち出した。
当初の経済制裁は、ドル建ての取引制限や欧米などでの資産凍結、ハイテク輸出の制限にとどまっていたが、国際決済ネットワークである国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの一部の金融機関を排除する措置(事実上のドル決済停止)が2月27日朝に欧米でついにまとまり、同日夜には日本も参加を表明した。
ロシアは天然ガスの生産量が世界第2位、石油は世界第3位のエネルギー大国だ。欧州各国は天然ガスの需要全体の3分の1をロシアから輸入している。
プーチン大統領は今回の経済制裁に対する対抗策として、エネルギー供給を絞ることがありえる。これはロシアの経済を傷める可能性もあるが、エネルギー価格の上昇を伴う可能性が高いので、輸出国の同国にとってはさほど不都合でもない。
「脱炭素」の流れで天然ガス依存が強くなった欧州を含む先進国では、エネルギーの供給減による価格上昇は痛いところだ。実際、そうした展開を先取りするかのように、エネルギー価格が急騰している。
経済制裁やその対抗措置が長期化した場合、ロシア経済は持ちこたえられるだろうか。
ロシアは経済制裁による打撃を緩和するため、国家財政予算の削減や外貨準備の増強などいろいろと準備をしてきた。