こうなるとロシア軍はキエフで建物を一つずつ掃討しなければならず、長期化は免れなくなる。市街戦の戦術としてシリア軍が近年、戦車を高速で突進させて後退させる動きを繰り返しつつ、その間に歩兵戦闘車で歩兵を道路両脇の建物に突入させる手法をとって注目されたが、これで被害を減らすことができても時間がかかることは変わらない。
長期戦になればロシアにとって不利な状況が多く出現する。市街戦ではウクライナ側も軍だけでなく国民にも大きな被害が出るが、その出血に耐える意思を持ち続けられるかが今後の行方を決める。現状で見る限り、ロシアは重心の選定を誤った。戦略の誤りは戦術的勝利では挽回できない。 (サンケイスポーツ・梶川浩伸)