こんな洋食ランチや定食メニューの話にググッと前のめりになって来るのが還暦世代である。昭和40年代後半あたりにお父ちゃんに連れて行ってもらったレストランのハンバーグの味が忘れられなくて、1980年頃は大学の学食でコープランチを食べて生き延びた世代。世間的には〝いい年したおっちゃん〟と呼ばれるが、食生活のお楽しみは依然として「お子様ランチみたいなの毎日食べたい!」と希望する〝老けた少年〟なのだ。
そんな世代が萌えるのは、食堂街の立て看板や壁メニューだ。ロースカツに何を組み合わせる?「ロースにチキンカツだと肉&肉になるから白味魚と組み合わせるか。それとも海老フライをメインに据えて、そこに何を付け足そうか…?」「カニコロだと150円UPか、いやそれならイカフライ100円増しの方がお得か?」どうするどうなる検討タイム。これ! この時間の楽しいこと。組み合わせ定食に感謝だ。迷わせてくれてありがとう。
そんなわけで、私はいつも1人で昼食を食べに行き、誰に遠慮することもなく料理表を端から端まで綿密に眺め尽くし、計算し、己の欲望をとことん吟味し尽くした末に「これ!」と決定する。その快感は何物にも変え難く、午後からの活力となるのだ。嗚呼! メニュー萌えがやめられない。