「両親が居間で見ていたテレビドラマを、ドアの向こうからコソっとのぞいていたんです。ラブシーンや、なまめかしい衣装を着た女優さんの演技を目に焼き付けていました」
11歳から児童劇団に所属して子役として活動を始め、その頃には自らの進む道を決めていたという。
「10代で男性を誘惑する役をもらえました。需要はあるけど、ちょうど空いていたポジションだったんですね。何のコネもない自分が生き残るには、この道を選ぶほうが手っ取り早いだろうと。ほぼ全裸になる作品もありましたが、喜んで引き受けました」
2011年公開の映画「冷たい熱帯魚」(園子温監督)では、鬼気迫る演技で夫とともに凶悪犯罪を繰り返す妻役に挑み、大反響を呼んだ。
「自分にとっての集大成でしたね。とことんやりました。エキセントリックな役は、あれで最後にしたかったので」
そう思い至ったのも予兆だったかもしれない。翌年、主演舞台の稽古中に体調を崩した。突発的末梢性(まっしょうせい)めまい症と診断されて自宅休養。舞台は降板となった。