
ロシア軍によるウクライナ侵攻に関して、米国の韓国に対する非難が、尋常でないレベルに高まっている。
文在寅(ムン・ジェイン)政権が「ロシア制裁」の隊列に、詭弁(きべん)を弄して加わろうとしないことへの「怒りの表明」だ。同時に、韓国大統領選で、「反文政権」の立場が明確な尹錫悦(ユン・ソクヨル)元検事総長への支援として作用することも見逃してはならない。

米国は、援助した国に裏切られても、露骨には反発を示さない国と思われてきた。
韓国が過去、どれほど米国の「お世話」になってきたかは言うまでもない。それなのに文政権は2017年、中国に「三不の誓い」(①高高度ミサイル防衛網=THAAD=の追加配備はしない②米国のミサイル防衛=MD=体制に加わらない③日米韓を軍事同盟にしない)をささげた。米国はどれほど怒るかと思われた。が、表向きは何も言わなかった。
ところが、ウクライナ侵攻では、韓国への怒りを露骨に示した。
「忘恩の国」「小心者の国」「恥ずかしい国」…。米政府が公式に言っているのではない。あくまでも退職公務員(=シンクタンクの研究職に就いている元国務省高官など)の発言だ。それをインタビュー形式で伝えたのは、「米国の国営放送」であるVOA(アメリカの声)放送だ。
現職の国務長官や国務省幹部では刺激が強すぎる内容を、「元高官」が「国営放送」で述べた―その内容は「米国政権の本音」と見るべきだ。
文大統領は2月22日、「ウクライナの主権尊重」と公言した。24日には外交当局者が「対露制裁に加わる」と述べた。だが、韓国の「国際社会が行う」とは、「国連が行う」という意味であり、国連が関わらない「独自制裁は行わない」としている。
国連は安全保障理事会の常任理事国であるロシアが拒否権を行使するため、何も決められない。つまり、韓国は「対露制裁をする」というが、実は「国連決議は成立しないから、何もしない」という意味なのだ。