「俺だって生活保護を受けようと思ったらいつでも受けられる。でもアパートに住むって言っても家賃は5万かそこらだろ。お前そんな物件見に行ってみろ。あれに金払うんだったらこの小屋のほうが全然マシだよ」
仮にこの歌舞伎役者風のホームレスが生活保護を受けた場合、住んでいた小屋は撤去されることになる。昔からある小屋はその存在を認められるが、今から小屋は建てられないルールだ。つまり、ボロアパートに嫌気が差し、また隅田川沿いに舞い戻ったとしても、もう住む小屋はない。そのため「体が動く限りは何が何でもここからは離れられねぇんだ」と言う。
小屋を建てられない新参者のホームレスは、高架下に段ボールを敷いて寝ることになる。私は御徒町の多慶屋(ディスカウントストア)でもらった段ボールを敷き、静かな眠りについた。