
おまきさん役、淡島千景の当たり役だ。1956年から2年余り「週刊朝日」に連載された人気作家、獅子文六の大衆小説が原作。主演した加東大介の代表作でもある。
昭和初期の兜町が舞台で相場師のギューちゃんこと赤羽丑之助が成功して立身出世する物語。
この小説には実在のモデルがいた。ギューちゃんは〝ブーちゃん〟という愛称で慕われた合同証券社長の佐藤和三郎。背が高く太っていたからだが、加東大介の体格にもよく似ている。
型破りな相場師となりメキメキもうけてゆく痛快な一代記。モデルがモデルだけに巷間(こうかん)では大きな話題に。当然、ギューちゃんの心の支えになる淡島千景の人気は不動のものになった。いじらしくけなげなおまきさんにはメロメロになるファンが続出したという。
たちまち続編が決まり、この年だけでも「続大番 風雲篇」、「続々大番 怒涛篇」、翌58年も勢いは収まらず、「大番 完結篇」が作られ、ふたりのコンビは鉄壁だった。